ビエネッタの値上げ情報
メーカー | 森永乳業株式会社 |
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商品名 | ビエネッタ |
内容量 | 530ml |
参考小売価格 | 680円(税別) |
原材料 (バニラ) |
乳製品(国内製造、ニュージーランド製造)、チョコレート、砂糖、加糖卵黄(卵黄、砂糖)、カラメルシロップ/香料、乳化剤、安定剤(増粘多糖類)、カロテン色素、(一部に卵・乳成分・大豆を含む) |
栄養成分 1本(530ml) |
エネルギー 819kcal たんぱく質 13.6g 脂質 55.4g 炭水化物 66.6g 食塩相当量 0.32g |
発売日 | 1983年 |
価格・内容量推移 | ||
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年月日 | 内容量 | 参考小売価格(税別) |
1995年時点 | 500ml | 500円 |
2004年時点 | 530ml | 500円 |
2019年3月~ | 530ml | 550円 |
2022年12月~ | 530ml | 600円 |
2023年3月~ | 530ml | 630円 |
2024年9月~ | 530ml | 680円 |
値上げ理由・建前 | |
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タイミング | 公表内容 |
2019年3月 500円→550円 |
物流費や人手不足による人件費の高騰、一部原材料および包装資材価格の上昇による製造コストの上昇が自助努力で吸収可能な限界を超えたため。 |
2022年12月 550円→600円 |
なし |
2023年3月 600円→630円 |
原材料および包装資材の価格やエネルギーコストが上昇、人手不足の深刻化による人件費や物流費も高騰しており、安全・安心な商品を供給していくため価格改定。 |
2024年9月 630円→680円 |
原材料および包装資材の価格やエネルギーコストが上昇していることに加え、人手不足の深刻化による人件費や物流費も高騰しており、これらの傾向は今後も継続することが予想されるため。 |
参考サイト | |
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公式サイト | 森永乳業株式会社 |
1995年 500ml 500円 | 日本食糧新聞 |
2004年 530ml 500円 | 日本食糧新聞 |
2018年 550円に値上げ | 森永乳業 ニュースリリース |
2022年 600円に値上げ | コンビニアイスマニア |
2023年 630円に値上げ | 森永乳業 ニュースリリース |
2024年 680円に値上げ | 森永乳業 ニュースリリース |
ビエネッタの値上げ解説
エスキモーのビエネッタ…この言葉を見聞きした時、多くの人はえも言われぬ懐かしさや望郷の念を感じたり、昭和の風景がフラッシュバックしたりするのではないでしょうか。
長い歴史を誇るアイスは数あれど、その多くはメーカーが時代に合わせてパッケージや規格を変え現代に溶け込ませていきます。しかしビエネッタは今でも昭和の香りが残り、驚くほど時間が止まっている印象。それは価格や内容量にも表れています。
確認できる範囲では、1995年時点のビエネッタは内容量500mlで税別500円。しかし2000年頃に価格を据え置いたまま内容量は530mlに増やされたようです。ステルス値下げですね。
その後長きにわたって530ml・500円という規格を維持…というか“放置”と言ったほうが正しいか。あまり売れない商品だから放置したのか、それともこのパッケージにこだわりがあってあえて手を加えなかったのかは不明。
とはいえ、他のアイスがどんどん値上げ&実質値上げされる中ビエネッタだけ例外とするのには限界を感じたのか、2018年にそれまで税別500円から550円へと値上げします。
また、「さすがに値上げしなさすぎ」と感じたのか、2022年のリニューアルに合わせこっそり600円に値上げし、2023年3月630円、2024年9月には680円に。それでも他のアイスに比べれば値上げ率はかなり控えめ。
一方、内容量に関しては20年以上にわたり530mlを堅持。このあたりは評価したいところだが…2021年11月のリニューアル時に怪しい動きがあった。というのも、このタイミングで栄養成分が1割近く減ったのだ。
皆さんご存じのとおり「ml」は体積の単位。
リニューアル前と後で体積が530mlで変わらない一方、栄養成分がずいぶんと減っているということは、ビエネッタの特徴ともいえる“波々の層”1層1層の空間が広くなったか、もしくはアイス自体の空気含有量が増えたかのどちらかでしょう。
リニューアル前と後で体積は同じでも、重量を計ればリニューアル後の方が軽くなっているかと。これが事実なら質の悪いステルス値上げだわ。消費者が気にする容量を変えずに実質的な量を減らしているのだから。
とはいえビエネッタは長きにわたりあまり手が加えられていないのは確か。一応パッケージは変わっているし、バニラの味や製造方法も時代に合わせて変化しているらしいが…ほとばしる昭和感は健在。
ビエネッタといえば、1個500円という価格、高級感あふれる波うつ見た目、アイスケーキという特別感などから、かつては「高級でおいそれと手が出せないアイス」という印象でした。誕生日など記念日に食べられれば御の字。
しかし、値上げされたとはいえビエネッタは内容量530mlに対し価格は680円。かつては500ml・500円だったわけですから、昔からその価値はそれほど変わっておらず、価格と内容量のバランスを考慮すると現在の状況では高級アイスとは口が裂けても言えない。
例えば同じ森永乳業が販売しているMOW(モウ)の現在の内容量は140mlで価格は税別170円です。1mlあたりの価格で考えると、ビエネッタと大衆向けのごく一般的なアイスであるモウはほぼ同じということに。
中価格帯となるパルムになると、1本入りが90ml・170円、マルチパックは330ml・550円とビエネッタより明らかに“高級”であることが分かる。え? ハーゲンダッツ? 比べるのもアホらしい。
一方でビエネッタは乳脂肪分を10.0%も使用している、文句なしの種類別アイスクリームなんですよね。モウやパルムの乳脂肪分はアイスクリームの基準ぎりぎりの8.0%だから、数字の上ではこれらより濃厚なバニラが味わえることになる。
それでいてこの価格…アイスクリームが高くなった現代においてはむしろコストパフォーマンスに優れるアイスという位置付けとすら感じる。
ただね、現在と違って昔はアイスが安かったため、相対的にビエネッタが高級であったのも間違いではない。前述のモウだって2003年の発売時は166ml・100円だったんだからね。
つまり、ビエネッタがメーカーから放置プレイを食らっている間に他のアイスがガンガン値上げ&ステルス値上げされ、いつのまにか大衆向けアイスがビエネッタの価値に並び追い越してしまった…というのが実情。
そう、良くも悪くもビエネッタは昔のままなのである。
もはやプレミアムとはいえないビエネッタを森永乳業があえてそのままにしているのは、中途半端にプレミアム化するより、昔を懐かしんで食べてくれる層に訴えかけたほうが得策と見ているからか。
かつて羨望の的だった高級アイス「ビエネッタ」。内容量530ml、乳脂肪分10.0%のアイスクリームにもかかわらず実勢価格400~500円ほどで購入できるのだから、昔を懐かしんで食してみるのも一興。
ただし、思い出補正が強すぎるとがっかりすること必至。
ビエネッタは間違いなく美味しいアイスクリームではあるものの、ハーゲンダッツやパルムなど濃厚かつ滑らかな絶品アイスが溢れる現代において、ビエネッタに思い出以上の“特別”を求めるのは酷だと思い知ることになる。